ウォールハンドボールとハンドボールは違う?
「ハンドボール」は世界的に見ると全く異なる2つの競技があります。
北ヨーロッパを中心に発展してきた7人(または11人)のチームで行う競技と1人(シングルス)または2人一組(ダブルス)でラケットを使わず手の平でボールを壁に打ち返す競技で、紀元前500年頃から行われているようです。
通常、海外ではこの競技を「ハンドボール」と呼び、前者は「チーム・ハンドボール」とか「オリンピック・ハンドボール」と呼んで区別をしています。日本国内では「チーム・ハンドボール」が先に普及していますので混乱を避けるためにここで紹介するハンドボールは壁を使うので協会の公式名称として「ウォールハンドボール」と呼ぶことにしています。もちろん一般のプレーヤーは「ハンドボール」と呼んでいます。
ウォールハンドボールはアイルランドのナショナルスポーツの一つで、近代のウォールハンドボールはアイルランド移民者が米国に持ち込んだことから始まり、現在は、特にアイルランドを中心に欧州、米国、カナダで多くのプレーヤーがいます。
↑4-Wallのダブルス
↑1-Wallのダブルス
どんなコートでプレーするのか?
コートには、テニスの壁打ちのような前の壁(フロントウォール)だけのワン・ウォールコート(1-Wallコート)と、スカッシュコートのように4方を壁に囲まれたフォー・ウォールコート(4-Wallコート)があります。ほかに4-Wallコートで後ろの壁がないスリー・ウォールコート(3-Wallコート)があり、米国では公園やリゾート地域の屋外でプレーされています。
国内では約90年前に東京YMCA(神田)の体育館に4-Wallコートが設置され、現在は東京近郊の商業スポーツクラブでもプレーされています。
最近は米国、カナダ、オーストラリアやヨーロッパの多くの国で1-Wallハンドボールが盛んで、オリンピック競技採用を目指して普及活動がされています。国内の東日本では御殿場の日本YMCA同盟国際青少年センターに、西日本では高知県宿毛市の中学校体育館に公式コートが設置されています。
これからはコート設置費用も安く、手軽にゲームができることから、1-Wallハンドボールが国内でも盛んになると思われます。
↑(左)1-Wallコート(右)4-Wallコート
どのようにプレーするの?
ウォールハンドボールは、プレーヤーが交互に手の平でボールを前方の壁(フロントウォール)に打ち返して競技するスポーツです。片手でボールを打ちますが、どちらの手を使ってもかまいません。左側に飛んできたボールは左手で打つことになります。
ゲームはサーバーのサーブでラリーが開始されます。レシーバーはサーバーのボールをノーバウンドかワンバウンドで打ち返し、ノーバウンドでフロントウォールに打ち返すことができればラリーが続きます。サーブ側がラリーに勝ったときのみに得点が与えられ、続けてサーブをします。レシーバー側がラリーに勝ったときは、サーブ権が移りますが、得点には変化がありません。ここでのポイントはレシーバーがボールを返した後はノーバウンドでフロントウォールに当てることです。4-Wallなら天井や横の壁(サイドウォール)、後ろの壁(バックウォール)には何度当てもよいということです。
このルールにより複雑な戦略を立てることができ、ハンドボールを体力だけではゲームに勝てないような面白いスポーツにしています。1-Wallなら前の壁(フロントウォール)しかありませんので床にバウンドさせないで、ノーバウンドで直接フロントウォールに打ち返さなければなりません。
なおゲームは2人が互いに戦うシングルスと、2人1組で対戦するダブルスがあり、先に21点を取った側が勝ちになりますが、11点や15点でゲームをすることもあります。なおデュースはありません。